「カナダの社会保障 2」

トップに戻る

児童給付制度
医療保険制度
カナダの年金制度

失業保険制度

失業保険

失業者に対し寛大な給付基準を用いた従来のカナダの失業保険制度は、2度のオイルショックと景気後退の影響をうけ、70年代後半から急激な保険財政悪化をもたらした。財政以外にも「10週間症候群」とも呼ばれる多頻度受給者問題やパートタイム労働者への適用問題があった。また、社会的弱者、とりわけ貧困な児童に対する人的資源投資のための社会的費用として明確な位置づけがなかった。そして、1993年に失業保険改革によって、新たな雇用保険制度が完成する。

主な特徴は

最良の社会保障は雇用保障にある。国民に対する人的資源投資という観点から、教育・職業訓練・雇用開発・社会保障などの政策的優先順位の見直しの一環として位置づけている。
労働時間単位の給付基準を導入することを通じてパートタイムの労働者などへの適応を拡大する一方で、自己責任原則導入に伴う厳しいルールや給付期限などをうちだすこと
3 雇用保険制度を労働者市場政策と連動させ、失業者の雇用への復帰を誘導する積極的再雇用給付と支援措置を導入
4 地方分権型の制度枠組みを設定して、州・準州政府のみならず労使団体やコミュニティに対して積極的な制度設計・運営への参加を呼びかける。

 

失業期間中の所得給付( Income Benefit )制度

従来の失業保険制度のもとでは、週15時間未満のパートタイム労働者については、労使ともに保険料拠出が免除されていたが、新しい雇用保険法のもとでは、免除制度が廃止され、時間単位でそう報酬に対応する保険料拠出が義務付けられることになった。低失業地域(失業率6%以下)の700時間から高失業地域(失業率13%以上)の420時間の範囲内で、受給資格要件が決定されることになった。この改正により従来は受給資格が認められていなかったパートや季節労働者など役9万人に受給資格が発生した。

給付基準も変更され、52週のうち12週(低失業地域)から20週(高失業地域)の平均週非保険稼得( Average Weekly Insurable Earnings )を基礎として算定されていた。新しい雇用保険法のもとでは、地域ごとの最低受給資格要件を満たす労働週(除数)に2週間加えて、初めて満額の受給権が認められることになった。直近の26週の総稼得額を実際の労働週または最低除数のどちらか高い数値で除した金額の55%として算定されることとなった。 受給頻度ルールが適用され、過去5年間で20週以上受給した場合は20週ごとに1%を減額するルールとなり、100週以上受給した場合は最高減額率5%を適用することとなった。

積極的再雇用給付(Actie Re-Employment Benefit)と雇用支援措置(Employment Support Measures)制度

積極的再雇用給付は、5種類のプログラムとされている。

1 特定賃金補助(Targeted Wage Subsidies)は失業労働者がOJTの訓練プログラムを提供する使用者の下で雇用される場合には平均で年間約 C$5,000 程度が支給される。
2 自営業支援(Self-Employment Assistance)は、失業者に対する自営支援のために財政的支援のみならず、開業計画の立案や指導などのサービス給付も組み込んでいる。
3 雇用創出パートナーシップ(Job-creation Partnership)であり、高失業地域における雇用保険受給者が州政府・民間企業・コミュニティの地域雇用開発プロジェクトに参加する場合、その期間中の所得給付を保障する制度である。
4 特定稼得補足(Targeted Earning Supplement) は、一時的に低賃金職場に雇用される場合、その賃金差額の一定額を補足するものである。
5 技能向上ローン・補助金(Skill Loans and Grants) は、個人が政府の指定する職業訓練期間以外の技能向上コースを選択する場合に、入学金・教材費を貸与・補助することを予定している。

雇用支援サービス(Employment Assistance Service)は、コミュニティ・ベースの団体が失業者に対するカウンセリングなどの雇用サービスを実施する場合の活動に対する支援。第二は労働市場パートナーシップ(Labour Market Partnerships)で、労使団体やコミュニティが人的資源開発や労働力調整を実施する場合の支援措置である。 第三は、調査・開発(Research and Innovation)で、雇用・労働力政策に関する調査・開発などの活動に対する支援措置である。Author--Bluepepsi--

 

参考文献:
先進諸国の社会保障〈 3 〉カナダ 著者: 城戸 喜子
カナダの社会保障 著者: 社会保障研究所  
移民のまちで暮らす―カナダ マルチカルチュラリズムの試み著者:篠原ちえみ
Immigrants Adapt, Countries adopt… or not: 著者:Cherif Rifaat

関連サイト
ケベック州に関して

カナダの歴史 前編 中編 後編

トップに戻る