ケベックと移民問題
ケベックの人口減少の理由は出生率低下と移民数の低下の2つである。多民族化が進むカナダにあって、単一民族化を図りたいケベックは、前述のルシアン・ブシャール州首相が進めるケベック独立運動があるように、フランス民族とその文化を守る事への支持率は高い。しかし、外部からの移民を拒み、フランス系、カトリック系だけの移民頼りに人口を増加させることは非常に困難である。
(カナダ移民申請において、ケベック州への移民申請だけは他州と方法が異なる。)そこには正しい答えは見つかっていない。出生率低下については日本やイタリア、スペインも同じ問題を抱えている。(C) OhCanadaJapan.com 2006
日本での人口減少が将来、日本文化や日本語が消えるかもしれない、という危険性に直結するとは考えにくいが、ケベックの場合は言語を含む仏系文化が多数派(英語系)に乗っ取られてしまうのではないか、という懸念が常に存在してきた。皮肉なことに実際は、カナダ全体の英語系の人口は増えているにもかかわらず、英国系の人口は全体の13%と減少している。つまり世界各国からの移民者の大半は英語を使用言語として利用しているのである。(C) OhCanadaJapan.com 2006
ケベックにおいて多くの分離主義者が間違えているポイントは英語とフランス語が同等だと主張することである。実際にフランス語は英語と同等ではない。さらに言えば地球上には英語と同等な言語は無い。というのは、英語は第二ヶ国語として世界中で認知され親しまれているからである。フランスは、歴史的にカトリック以外の異教徒や、アングロに対し差別的で閉鎖的であった。また、フランスは北アメリカのフランス植民地に対して厳しい法律と独立性の無い貿易政策に代表されるような経済抑制を課した。(C) OhCanadaJapan.com 2006
ケベックの英語教育
移民者は少なからず、移民することによって、母国より良い生活が出来ることを期待して移民する。生活の繁栄、安全、そして安定的な将来を新しい国に希望を託す。一世の移民者が職に就き生活が安定すると、次は家族への教育に注目が集まる。移民者本人や配偶者よりも二世となる移民者の子供への教育をどうするか、といったことだ。ケベックの移民者への教育の問題点は、英語教育が受けにくいという事実がある。一部の裕福な階層以外は英語教育受けられる可能性は極めて少ない。現実的にカナダでの子供の将来を考えると英語教育は重要である。多くの移民者がケベック移民を避けたがる、又は移民後に他の英語州に移ることで、ケベックの移民人口が増えない理由と問題点はそこにある。
良い教育と多くの人口、つまりケベックでも Well-educated population が北アメリカの繁栄、自信、尊敬をもたらすことが理想である。フランスの文化と社会体制を維持しながら若い世代に英語教育を促進していくことは、今後のケベックの教育課題と言える。(C) OhCanadaJapan.com 2006
マルチカルチャリズムの今後
いつかケベックに住むフランス系カナダ人達が武器を手に取り、己の独立を主張する時代の到来あるだろうか...あり得ないことだ。それは、フランス系住民の半数以上は連邦制の改正された新憲法の下で、州単位の地方分権の維持、連邦政府とのバランス、仏系文化と言語を保護、といった可能性に期待しているからだ。しかし、歴史的な仏系、カトリック系の閉鎖感を改善し、単一民族的考え方を変えない限り、ケベック問題の改善はありえない。多文化主義(マルチカルチャリズム)政策の下で、カナダは全く新しい現代国家としてスタートしたばかりである。今後は移民人口 3 位の中国系移民が団結し、中国語の公用化を求める運動が来るかもしれない。また先の 9.11 テロでイスラムやアラブ系カナダ人と他のカナダ人との間で多少のイザコザが発生したように、マルチカルチャリズムに完璧な成功はありえない。今後もさまざまな問題を抱えつつ、より良い道を探っていくというプロセスの繰り返しになるであろう。 Author--Bluepepsi--2006 (C) OhCanadaJapan.com 2006
参考文献:
カナダを知るための60章
著者: 綾部恒雄
明石書店
移民のまちで暮らす―カナダ マルチカルチュラリズムの試み 著者:篠原ちえみ
カナダを知る―もうひとつのアメリカ 編著:吉田健正 J .セイウェル S. ファース
現代ケベック―北米のフランス系文化 編著:長部重康 西本晃二 樋口陽一
エスニシティと現代国家―連邦国家カナダの実験 著者:中野秀一朗
カナダ多民族社会の構造―エスニック集団はなぜ存続するか 著者: 倉田 和四生
多文化主義・多言語主義の現在―カナダ・オーストラリア・そして日本 著者:西川 長夫
Immigrants Adapt, Countries adopt… or not: 著者:Cherif Rifaat
The Vanishing Country: Is It Too Late to Save Canada?
Mel Hurtig
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