ケベック問題
1995 年 10 月 30 日、 2 度目となるケベック州のカナダからの分離を問う州民投票が実施された。 結果は 50.6 %対 49.4% の僅差で分離反対派の勝利に終わった。投票率はなんと 93.6 %を記録し、カナダ国民が初めて国家分裂の深溝を垣間見たこの衝撃的な州民投票は、 1960 年代より顕著化して以来、カナダの内政を揺さぶってきた「ケベック問題」の最新の重大局面である。万が一ケベックが分離独立すればカナダが東西に分断されるだけでなく、求心力を失い連邦が解体する可能性、経済力の低下から先進国首脳(G7)から外れる事態、ドル暴落などの経済混乱なども予想される。60 年代から始まった、ケベックの文化的、政治的独立、特権を獲得しようとする政治イデオロギーとしてケベックナショナリズムは多文化主義を国是とする連邦政府にとって大きな問題となった。カナダの歴史、政治、経済や移民制度にまつわる法制度などを考えていく上でケベックの存在は避けては通れない重要項目のひとつである。(C) OhCanadaJapan.com 2006
ケベックの歴史
ケベックの歴史は大きく 4 つの時期に分けることが出来る。第1期はインディアンとイヌイットを中心とする先史時代。 第 2 期は 1534 年にジャック・カルチェがカナダを発見後のヌーベルフランス時代。 1736 年から始まるイギリスの支配のもとでのフランス人の生き残りを模索した第 3 期。 第 4 期は 1867 年に自治領に移行したカナダを構成する州としての歴史から現在である。そして、 1874 年のケベック法ではイギリス系の社会の中でフランス系が従来のように生きていくことが認められ、アングロ系とフランス系の共存による民族共同体として、近代カナダ連邦が誕生した。(C) OhCanadaJapan.com 2006
ケベックの社会とフランス語系人口の減少
人口 700 万人のケベック州はフランス系カナダ人が大半を占め、圧倒的にアングロ・サクソンの北アメリカでフランス言語とその独自の文化を守り続けている。しかし近年はカナダにおいてフランス語を母国語とするカナダ人は 29 %から 24 %に減少している。 フランス語系住民はともかく、英語やそれ以外の母国語を持つ人々の大部分が使用言語としてフランス語よりも英語を選ぶ傾向にあり、全体としてケベック州人口の約 16 %が英語系になっている。この英語系への同化は、フランス系の人々の出生率低下、経済活動は主に少数派のイギリス系に牛耳られている現状を背景に、ケベックにけるフランス語に脅威を与えており、フランス語を守っていくために、歴代の州政府はさまざまな法律「フランス語法」を作ってきた。 (C) OhCanadaJapan.com 2006
フランス語法
1969 年にユニオン・ナショナル党が作った「ケベックにおけるフランス語発展のための法律」通称代六三法、第二三法を経て、1977 年ケベック党政府の元で可決された「フランス語憲章」 charte delalangue francais. で完成する。この101法はフランス語をケベック州の唯一の公用語としている。すなわち議会や裁判所、役所など公共機関においてのみならず、通商、コミュニケーション、民間企業など実情会において、教育界においてフランス語を使わなければならない。もちろん、実業界や英語系住民からは強い反発を受けた。他のカナダの地域では多数派の英系は、ケベック州では少数派となるが、学校教育、新聞、ラジオ、テレビ放送などを含め、他州の少数派と比べ最も良い文化的保護を受けている。英語州のフランス語系少数派にも同等の文化保護を与えよ、というのはフランス系カナダ人の主張の1つなのである。 Author--Bluepepsi--2006 (C) OhCanadaJapan.com 2006
ケベックのナショナリズム〜静かなる革命「ケベック問題(中編)」
参考文献:
カナダを知るための60章
著者: 綾部恒雄
明石書店
移民のまちで暮らす―カナダ マルチカルチュラリズムの試み 著者:篠原ちえみ
カナダを知る―もうひとつのアメリカ 編著:吉田健正 J .セイウェル S. ファース
現代ケベック―北米のフランス系文化 編著:長部重康 西本晃二 樋口陽一
エスニシティと現代国家 著者:中野秀一朗
カナダ多民族社会の構造―エスニック集団はなぜ存続するか 著者: 倉田 和四生
多文化主義・多言語主義の現在―カナダ・オーストラリア・そして日本 著者:西川 長夫
Immigrants Adapt, Countries adopt… or not: 著者:Cherif Rifaat
The Vanishing Country: Is It Too Late to Save Canada?
Mel Hurtig
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