*写真抜粋:カナダ大使館、日本国外務省、 ENF (Energy Focus) 次にフランスの対応であるが、カナダの対応とまったく異なっていた。フランスの行動原理を示す上で重要な概念が「力と法の均衡」である。渡邊啓貴によれば、「冷戦後のアメリカ一国支配体制に反発して多極構造による世界の均衡的安定を主張してきた」フランスは「国連における平和解決の大儀を主張することによって後々の国際社会での発言権を保つことができた」となる。フランスの政策は、イラク戦争を防ぎ得なかったことで外交的に失敗したと見るよりもむしろ、紛争解決の枠組みとして国連重視を貫いたということによる利益が大きかったと見るべきだと主張している。「国連重視」という政策が、フランスが目指す多極世界秩序の実現にとって最も現実的な路線でるとする。 一連のイラク戦争外交において、フランスは結果としてプリンシパルパワーとして振る舞い、その目的は「イラクを巡るアメリカの力を国連中心主義にはめ込んで制御可能なものにしていく」ことであった。実際にはミドルパワーであるフランスは、国際的影響力を確保するという目的のためには、国際レジーム重視しか方法は無かったのである。 フランスがアメリカと対決姿勢を強めるに当たっては、世論の高い支持があり、シラク大統領=ドヴィルパン外相の強いリーダーシップにより遂行された外交は、政策決定単位「単一集団型」、「単独リーダー型」と見ることができ、「政府主導型モデル」である。イラク戦争においての EU の分断危機があったものの、イラク戦争終戦後はイギリス・アメリカとの関係改善なったとなれば、国益は確保できたといえるであろう。 結局アメリカに開戦は押し切られた形になったが、フランスは国連重視を貫くことで、結果として対米関係では対等なものとなったのである。 対米認識において、カナダとフランスには大きな違いはないように思えるが、その関係においては大きく異なる。結果、その行動がミドルパワーで収まった前者とプリンシパルパワー振舞えた後者のの違いとして出てきたと見ることもできるであろう。 国家の外交政策を考える上においては、つまるところ自国の立ち居地をどこに定めるかで、外交行動を策定する必要がある。日本のようにミドルパワーを志向しながら、その実はスモールパワーであるといったような構造的齟齬は、 間違えれば「国益」を損なうことに通じるのである。 参考文献:櫻田大造、伊藤剛 , 2004, 「比較外交政策 ? イラク戦争への対応外交」明石書店 第1、4、8、9章 |
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